アニメ『映像研には手を出すな』感想

レビュー

映像研には手を出すな感想

70点

アニメ「映像研には手を出すな」が全12話を見終えました。

大童澄瞳先生による同名漫画のアニメ化作品。TVアニメは2020年から放送され、全12話で構成されている。映画はこのアニメシリーズを、そのまま実写化したような作品で、公開前に実写ドラマ(全6話)が放送されます。私は原作となる漫画も、実写もみていませんが、なんだかんだで20年以上アニメを見ている者として、視聴してみた次第です。

視聴してみて、強く感じたのはアニメに対する製作者側の愛でした。それでも自己満足になることなく、一つの青春映画としていい感じにまとめられていた点は、さすが湯浅監督です。実写ではどうしても作品の内容よりもキャストに重きを置かれがちなので、アニメの面白さをアニメで伝えることに意味があると思いましたし、とっつき易いという点でもアニメだからこそできること、とも考えました。

本作はエンターテイメントとしては「邪道」な作品だと思います。というのも劇中劇、アニメインアニメ、マンガ家マンガのような作品だからです。こういった作品の多くは、頑張って作品を作り、困難を乗り越え栄光を掴んで終わります。そうしないと話が盛り上がらないからですね。そういった点ではこの「映像研には手を出すな」のストーリーは王道をゆく作品だと思います。

ただしそこまでです。どうしてもマンガ家マンガ(この場合アニメーターアニメーター?)の作品は内輪受けや楽屋落ちになりやすく、「バクマン」にしても、「吼えろペン」にしても、漫画家の数を増やしたことにはなりませんでした。視聴しながら、私は常々考えていました。「モノづくりの本当の面白さを、映像を見ることで伝えられるのだろうか」と。本作は、それをやっている作品でした。

思えば第1〜3話に結末の布石は貼られていました。浅草氏、水崎氏の妄想です。そして浅草氏の台詞は最終回も変わりません。この時点で、本作は「仮定の物語」であることが示されていた訳です。

では本作で何が重要視されていたのかというと、それはフィクションの中に現実を切り取るという点です。序盤に水崎氏が「アニメーターは絵を動かしてなんぼ」と言い、金森氏がそれに応えるシーンがあります。ここが重要だと思いました。つまり「どんなに面白いものを作っても、コストを考え、お金に繋げなくてはならない」という。本作は「エンターテイメントとお金の流れ」に注力していると思います。だからこそ、たびたび挟まれる生徒会なのかなと。

そしてお金儲けを描いたことにより、本作にはもう一つ意味が生まれていると思います。それが「クリエイター側が需要とお金の流れを意識する」ということです。劇中でも台詞がありましたが、浅草氏は最初自分が作りたいものを作っていました。楽しみながら作品を作る過程を映した上で、クライアント側の都合も考えるようになっています。1作目と2作目の気持ちが対比されているのです。2作目を作る際、関係各所に配慮しながら作りましたが、3作目はどうだったか、最終回を見れば一目瞭然でしょう。

そして最終回でも「モノを作り、改善点を見つけ続ける」ことが提示されている本作だからこそ、アニメにする意味があったのだと思います。映画だと100分ちょっとで一気に見せつけられますし、実写だとキャストに目がいってしまってキャラクターに意識が向きにくく取っつきにくくなります。

ただどうしてもマンガ家マンガのように、内輪感が出たことは否めず、結果としてアニメを作る面白さではなく、アニメの面白さを伝えるにすぎない作品になってしまった感じはします。これを見てアニメーターになろうという人は少ないのではないかと思います。結局のところ、モノを作ることの面白さを伝えたかったら、モノを作るしかないのだと私は思っています。

他にも設定画が良かったとか、効果音の設定まで描かれていて良かったとか、妄想の中を3人が疾走するのが観ていて面白かったなどなど良い点はたくさんあります。2期待ってます。

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