【森博嗣】Wシリーズに出てくる印象的なテクノロジー5選(微ネタバレ)

技術,体験,漫画森博嗣,小説

森博嗣さんの書籍Wシリーズについてのエントリです。

 

Wシリーズは未来が舞台の小説ですが、未来らしく現在ではまだ実現していないテクノロジーが多くでてきます。

 

そんなテクノロジー5選です。

 

よろしくお願いいたします。

Wシリーズの近未来テクノロジー5選

 

 Wシリーズについて

概要

 

作家:森博嗣の小説 シリーズ作品第8弾目にあたる

今まで理系ミステリー作家として作品を発表していた森さんですが、今回から舞台を近未来としてなかなか挑戦的な内容になっています。

詳しくは同氏が直接説明をしているサイトをご参照ください。

シリーズ一覧

彼女は一人で歩くのか? Does She Walk Alone?
魔法の色を知っているか? What Color is the Magic?
風は青海を渡るのか? The Wind Across Qinghai Lake?
デボラ、眠っているのか? Deborah, Are You Sleeping?
私たちは生きているのか? Are We Under the Biofeedback?
青白く輝く月を見たか? Did the Moon Shed a Pale Light?

new ペガサスの解は虚栄か?Did Pegasus Answer the Vanity?

浮遊工作室(Wシリーズ)森博嗣さん本人による解説

 

 

Wシリーズから読み始めるが多いらしい

 

余談となってしまいますが、以前森博嗣さんの作品を読み始めるにあたってのおすすめを紹介するエントリを書きました。

[blogcard url="https://trend-tracer.com/mori_mystery/"]

 

そこでWシリーズからの入門を☆2としましたが、実際はこのシリーズから読み始める人が多いということです。当てが外れてしまいました・・・。

 

森博嗣さん本人もそれについては問題がないとおっしゃっています。(詳しくは上記の本人による解説をご参照ください。)

 

そんなWシリーズには近未来らしいテクノロジーが随所に出てきます。

そのテクノロジーについて印象に残ったものを5選しました。

ここでご紹介いたします。

 

 

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Wシリーズに出てくる印象的なテクノロジー5選

「ウォーカロン(walk alone 人造人間)」

 

訳は「単独歩行者」

 

Wシリーズの世界では人間と人造人間が共存を果たした世界となっています。

 

この「人造人間」がウォーカロン(walk alone)と呼ばれています。

 

ウォーカロンは外見上、生身の人間と区別がまったくつきません。

 

なので登場人物の紹介の際には必ずといっていいほど生身の人間なのか、ウォーカロンなのかの独白が主人公からおこなわれます。

 

Wシリーズの主人公「ハギリ博士」はこのウォーカロンと人間の判別が出来る装置を開発したとして有名になり、そして命を狙われることになります。

 

(ちなみにこのウォーカロンはWシリーズが初出ではなく、既に同氏の「百年シリーズ」で登場しています。)

 

そしてこのウォーカロンは生きた細胞を使用しているため普通に成長もし、生身の人間との違いはどこで生まれたかによる違いであると作中で書かれています。

 

Wシリーズの世界でのウォーカロン出現までの時系列をまとめると

人工細胞の実用化

人間の肉体の内85%が代替可能になる。

同時に人工知能技術の発達

人工細胞と人工知能を掛け合わせた「ウォーカロン」の誕生

 

となっているようです。

 

ちなみに初期のウォーカロンは「知能が高すぎた」ため、現在流通しているものはわざと遅延回路が組み込まれています

 

昨今のAI技術の発展は目覚ましいものがあります。

 

もしかすると近い将来、本当にウォーカロンのような存在が誕生してくるのでしょうか・・・

 

「人工細胞」(人間の寿命の半永久化)

 

ウォーカロンの肉体にも使われている人工細胞。

 

Wシリーズではこの人工細胞により人間の寿命は半永久的に長くなったようです。

 

金さえあれば衰えた臓器を取り換え寿命を伸ばせる。

 

夢のような世界ですが、作中ではこの人工細胞の登場により深刻な問題が発生しています。

 

それが「人口減少」です。

 

作中の表現によると、寿命が延びたため、子供を作る必要がなくなった。というわけではなく子供を産むための行為をしているいも関わらず子供が出来なくなっていったとのことです。

 

人口減少は深刻な問題とされましたが労働力についてはウォーカロンが埋め合わせをする構造になっています。

 

ノーベル賞をとられた山中教授のiPS細胞などのいわゆる「万能細胞」の研究が実用段階に入ればもしかしたらこの技術は小説の中だけのものではなく、本当に現実のものになるかもしれません。

 

 

チューブ(高速移動装置)

 

Wシリーズでも車の存在は確認できますが中長距離移動は「チューブ」という装置を使うようです。

 

リニアモーターカーの小型版で、地下を人ひとりが寝れるくらいのカプセルが走ります。

 

管内は真空に近くなっており、最高速度は時速800キロ

 

時速800キロというと飛行機と同じくらいの速度でしょうか。

 

真空なのでソニックブーム(音速を超える際に発生する衝撃波)を考慮する必要がない。

 

なのでもっとスピードを出そうと思えば出せるとのこと。

 

乗り心地は「揺れは感じるものの、音はしない。加速も緩やかだし、減速もほとんど感じない」

 

作中では特別な人物が使える移動手段ということで、流通はしていないようです。

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仮想の村(VR空間での生活)

 

映画マトリックスでは現実と思われていた世界が実はプログラムで、実際は荒廃した世界が現実であったという内容でした。

 

Wシリーズにも「仮想の村」が登場します。

 

これは脳波を使ってVR空間の村で自由に生活が送れるというもの。

 

作中では職業エンジニアの方たちがこの村で生活をし始めているようです。

 

村の中での生活はというと、プログラムされた世界であるため、風が吹いても、花が咲いても、太陽が沈んでも・・・それは全てあらかじめプログラムされたものです。

 

足の速さやジャンプ力などの能力もステイタスが割り振られ、数値をいじるだけで誰でもスーパーマンになれるような世界

 

これは同氏の「すべてがFになる」でも提示されていた未来です。

 

「他人と実際に握手することでさえ、特別なことになる。人と人が触れ合うような機会は、贅沢品です。エネルギィ的な問題から、そうならざるをえない。人類の将来に残されているエネルギィは非常に限られていますからね。人間も電子の世界に入らざるをえません。地球環境を守りたいのなら、人は移動すべきではありません。。。」

 

「すべてがFになる」作中での真賀田四季のセリフです。印象的ですね。

 

これを1998年に小説として書かれたということがまず驚きです。

 

最近では現実でもWeb会議などで実際に人が集まらなくてもコミュニケーションをとれる手段が増えています。

 

皆がVR ゴーグルをつけて別々のところから会議に参加するなんてことも実際にもうできるんだろうなぁと思っています。(それをやるかどうかは別として)

 

人工知能の緊急停止コマンド

 

前述したウォーカロンには緊急停止用のコマンドが実装されていました。

 

「赤い魔法を知っているか」

 

最近人工知能同士が独自言語で会話し始めたため強制終了されたニュースがありました。

[blogcard url="https://www.gizmodo.jp/2017/08/facebook-ai-sf.html"]

 

Wシリーズのウォーカロンでも緊急停止コマンドは実装されていました。

 

Wシリーズを読んでいてふと感じることが、「これは本当にフィクションなのだろうか」ということ。

 

小説内での出来事と現実で報道される事が少しずつリンクしていく感覚。

 

森博嗣さんがどこまでをフィクションとしているのかはわかりませんが、その想像力と未来を見通す力には驚くばかりです。

 

フィクションと現実

終わりに

森博嗣さんの小説はフィクションですが作中に出てくるテクノロジーの多くは実際に研究されているものです。

 

工学博士ということで最新の研究を目にすることも一般人と比べると沢山あると思います。

 

作中のテクノロジーの中には、今はまだ研究段階でも数年後には運用され始めるものもあるでしょう。

 

そんなテクノロジーがでてきたとき、人は何を考え、どういったことに使い始めるのかが既に森博嗣さんの小説には書かれているように感じます。

 

小説としても楽しめますがテクノロジーに注目するとまた違った楽しみ方が見いだせるかもしれませんね。

 

以上です。

 

読んでいただきありがとうございます。

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