【ネタバレあり】「月は幽咽のデバイス」考察 意外な犯人?
こんにちは。
本日は森博嗣の月は幽咽のデバイスを完読しましたので、考察していきたいと思います。
本作はVシリーズの第3作品目です。前回1作品目の「黒猫の三角」(くろねこのでるた)と2作品目の「人形式モナリザ」についても、感想と考察を書いていますので、まだそちらを読まれていない方はそちらも是非読んでみてください。
「月は幽咽のデバイス」あらすじとネタバレ
舞台は、那古野市東部にある住宅街に建つ大豪邸です。そこで起きた密室殺人事件を瀬在丸紅子、保呂草順平と小鳥遊練無、香具山紫子の四人が解決していくお話です。
主に、推理をしていくのは今回も瀬在丸紅子さんですが、見所ならぬ読み所としては保呂草さんを助けに向かった練無のアクション部分や、紅子さんと愛知県警の祖父江七夏のバトルです。
もちろん、今回も練無と紫子の掛け合いも面白かったです。
※ここから先はネタバレを含みますので、
まだ月と幽咽のデバイスを読んでいない方は覚悟の上先を読んでください。
今回の舞台である、大豪邸に住む篠塚莉英は紅子の知り合いであり、莉英と神部和明の婚約発表パーティーに出席するため、紅子は篠塚家を訪れた。そこに、ひょんなことから訪れた保呂草もこのパーティーに出席をすることになる。
事件は、パーティーの最中に発生した。豪邸にあるオーディオルームでパーティーに出席していた歌山佐季が衣類も引き裂かれた凄惨な死体が発見された。発見者は莉英でオーディオルームに鍵がかかっていることを不審に思い、鍵を開けた。
一方、小鳥遊練無と香具山紫子、そしてパーティーの出席者である森川美沙の弟である森川素直が、保呂草にご馳走が食べられると連絡を受け、何も知らない三人が殺人現場に合流してしまう。
その後、殺人現場に愛知県警の林と祖父江七夏が来て事件の推理が始まった。
歌山佐季は服を引き裂かれ、部屋の中を引き摺り回されたのか床が血まみれになっていた。
また、部屋にあった水槽から漏れたのか一部の床は水に濡れていた。
一方、紅子は事件の翌日に豪邸の裏で人工的に作られた池を発見し、そこからホースでオーディオルームの水槽に水が送られていること発見し、祖父江に報告をした。
なぜ犯人は、被害者を引き摺り回したのか?なぜ水槽の水は漏れたのか?この2点が事件を解く鍵だとされていたが、事件の解決は難航していた。
事件から2週間後、林と祖父江七夏と紅子、練無と紫子の計五人で推理が始まった。
練無は豪邸にオオカミ男が現れる噂を持ち出し、今回の事件もオオカミ男の仕業なのでは?と推理した。その場では、冗談として流されてしまった噂話であった。
練無と紫子が阿漕荘(練無と紫子と森川素直、保呂草が住むアパート)に戻ると、練無の部屋のドアに保呂草からの置き手紙があった。その手紙には「今夜十二時までに戻らなかったら、開封すべし」と書かれていた。何やら事件の匂いを感じた練無と紫子と森川素直は、十二時を待たずして手紙を読むことにした。
十二時までに戻らなかったら、警察に電話をしてほしい。
篠塚宏邦に呼び出されて会いにいく。
多少、身の危険を感じたので、万が一のために、これを書いておく。
よろしく。保呂草
月は幽咽のデバイスP267より引用
三人は急いで、篠塚邸に向かう。
篠塚邸に向かうと、保呂草の車が車庫の前に駐車してありそこから別の1台の車が走り去っていった。不審に思った練無は、車庫から篠塚邸へ忍び込むことになり残った紫子と素直は玄関のインターフォンを押し、保呂草が居ないかを確認することにした。
莉英が玄関に現れ、保呂草は来ていないという。困り果てた紫子と素直に莉英は麻雀をしないかと誘う。理由はともかく、篠塚邸に潜入できることに成功した。
一方、車庫側から地下室へ潜入をした練無は暗い部屋で潜んでいると、獣のような声と莉英の宥める声が聞こえていた。怖くなった練無は車庫に戻ろうと試みるが、もと来た道は電気が消えており手探りで帰っていったが、車庫で篠塚邸に居候している桜井に見つかってしまい、襲われそうになる。
練無は習っている少林寺を駆使して、桜井からの攻撃をかわした。
その頃、莉英に麻雀をしようと誘われた紫子と素直は一室で莉英を待っていた。しばらくすると、莉英は桜井を連れて戻ってきて四人で別の部屋に移動をした。その部屋で莉英は1つのなぞなぞを二人に出す。
月と、火と、白
月は幽咽のデバイスP319より
なあんだ
素直が熊(ツキノワグマ、ヒグマ、シロクマ)と答えると、莉英は「うん、そう」と答え正解したことを伝えるが、紫子と素直は桜井から差し出された飲み物を飲み、たちまち寝てしまう。
練無は車庫から外に出て他の侵入経路を探したが、どこも入れそうになかった。そこで、堂々とインターフォンを押して紫子と素直を呼んでもらうことにした。インターフォンを押すと出迎えたのは莉英だった。紫子と素直を呼んでほしいと練無は莉英に伝えるが、二人は一緒に麻雀をしているという。
練無は地下室でみた獣について、莉英を問い詰める。すると、莉英の後ろでぐったりした紫子を抱えた桜井が現れ、刃物を紫子に突き立てた。莉英は練無に地下室で獣をみたことは内緒にして欲しいことと、今回の事件の犯人は獣の仕業ではないということを説明し、床に跪いた。
一方、紅子は保呂草たちが住む阿漕荘に向かったが、誰もいない事に不審を感じて愛知県警の祖父江七夏と一緒に篠塚邸へ行くと、そこには玄関に練無と玄関ホールで跪く莉英と刃物を持ったまま突っ立っている桜井、そして階段の手摺りにもたれかかった紫子がいた。
そのまま桜井は七夏に手錠をかけられ、2階で眠らされていた素直も救助された。
一方、保呂草はどこへいったのかというとオーディオルームに潜んでいた。宏邦に呼び出された際に、地下室に隠された美術品について相談された。保呂草はここにもうすぐ警察官が来るので美術品を持って逃げた方が良いと伝えると、宏邦は美術品を持って車で出ていってしまった。その後、保呂草はオーディオルームに忍び込みオーディオを聴いていた。
オーディオルーム内に入り事件当日にこの部屋で何があったのかを、紅子が実証することになった。
オーディオルームにあるソファの手すり部分に、スイッチがついていた。そのスイッチを押すとソファとオーディオを置いている部分がグングンと上に上がっていった。ソファとオーディオ部分が上がっているように見えたが、実際には他の部分がエレベータのように地下へ下がっていっているのだ。
そして、下がり切ると紅子たちがオーディオルールへ入ってきた扉では無く、新たな扉が現れた。
すると新たな扉から獣が飛び出してきた。莉英が宥める。莉英は獣をオスカーと呼び、この部屋から出て行くことを命じると、大人しくオーディオルームから出ていった。
これで、被害者の歌山佐季は誤ってソファについたボタンを押してしまい、獣が現れて襲われてしまったと考えられた。
では、水槽の水がなぜ溢れていたのか?それは、外の池からホースで水を送っているが、水槽が置かれた場所と池の位置に高低差が生まれたことで水が流れ、水槽の水が溢れてしまったのだった。
意外な犯人について
今回の犯人は、人間ではなく獣でした。
獣と話の中では表現されていますが、実際は熊だと考えられますね。
私は最初にこの話を読んだ時、こんなのありなのか?と思いましたが、現実にはよく森に入った人が襲われて大怪我を負ったり死亡したりするニュースを見るので、まあありえない話ではないかと思います。
それは、なぜかというと前記でも紹介しましたが、莉英が紫子と素直に「月と、火と、白。なあんだ」というなぞなぞを出しており、素直がその問題に熊だと答え、莉英は素直に正解であることを伝えているからです。
熊をなぜ地下に飼っていたのかは、詳しくは書かれていませんがおそらく地下に隠した篠塚宏邦の美術品を、この熊に守ってもらっていたのでしょう。番犬?のような扱いでしょうか?
皆さんは読書をする際に、どういった姿勢で読書をしていますか?
私は大概、ソファに座っていることが多いのですがずっと下を向いているので、首や肩が痛くなってしまったり、そのまま寝落ちしてしまうことがあります。
寝っ転がったまま読書ができればいいのにな。そう思って寝ながら読書ができる商品を探しました。
そこで発見した商品が「人間をダメにするブックスアームタンド」という商品です。
この商品は手に本を持つことなく、読書ができるので腕が疲れることがありませんし、自分が楽な姿勢で本が読めるようにアームで調節ができる夢のような商品です。
文学YouTuberのベルさんがこの商品を紹介した動画がありますので、気になる方はそちらも見てみてください。
幽咽ってなに?
タイトルにもある、幽咽(ゆうえつ)とはどういった意味かわかりますか?
意味はWeblio国語辞典で調べると、
微かにむせびなくこと。とありました。
むせびなくとは、悲しいが声を出さずに泣く事です。つまり、タイトルの「月は幽咽のデバイス」とは
月は声を出さずに泣く装置または機能を持つ道具、という意味になります。
なんてかっこいいタイトルなんだ!
今回は以上になります。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
次はこの作品を読んでいきたいと思います。また読み終わったらレビューを書いていきたいと思います。よかったら、私と一緒に皆さんも読んでみませんか?