クリエーターズマーケットで売れないブースと売れるブースの違いを考察する
クリエイターズマーケット2022(https://www.creatorsmarket.com/)に参加してきました。
参加と言っても出品者ではなく、普通にお客として参加してきました。
今回はお客目線繁盛しているブースと、あまり売れていなさそうなブースは何が違うのかを考察してみたいと思います。
クリエイターズマーケットに参加してみての感想
今回クリエイターズマーケットに参加してみて、非常に楽しめました。
6月下旬の梅雨時でしたが、天気は良く、移動しやすかったです。
「耳かき」、「絵」、「ボールペン」、「帽子」など興味のあるものを買いました。
参加してみて思ったことは「財布の紐が緩くなる」イベントです。
普段の生活では使わなさそうなものでも、あの空間に来ると買ってしまいそうになる不思議な魅力があります。
きっとクリエイターの方々の創作意欲にあてられるのが原因ではないかと思います。
ですが、参加者の方々を見ていると売れているブースと売れていないブースに分かれているなと感じました。
なので今回は参加者の目線で売れそうだな、売れなさそうだなと思ったお店の特徴を書いていこうと思います。
売れないブースの特徴を考える
売れないブースの特徴といっても、販売数や売り上げを参加者の私が把握することはできません。
なので、ここでは「売れる=作品を手に取る人が多い」と仮定します。
作品を実際に手に取らずに購入することは稀でしょうから、ある程度の相関はあるものとします。
売れないブース=あまり人が立ち寄らないブースという視点で考察していきます。
特徴1:作品を手に取りにくいブースのレイアウトになっている
初参加だったこともあり、新鮮な気持ちで商品を見ていきましたが、手に取りにくいなと思えるブースがいくつかありました。
興味がなさそうな作品でも、手に取りやすい陳列の仕方やレイアウトをしているブースのものはつい見てしまいますね。
手に取りやすいブースというはどういうものかと考えてみましたが、個人的には「店員から売ろう売ろうというオーラ」がただ漏れているところは近づきづらかったです。
具体的にいうと、商品を手に取ったら声をかけられてきそうな雰囲気ですかね・・。
例えば陳列棚のすぐ後ろに人が立っているとプレッシャーを感じてしまって作品を遠目に見て満足してしまいました。
そうなると出品者からしたら「じゃあどこにいればいいんや!」って言われるかもしれませんが、個人的に近づきやすい位置関係は陳列棚の横に出品者がいるレイアウトが近づきやすかったです。
棚の横にいるから場所としては、近づいているわけですので、目があったりしやすくなるかと思われるかもしれませんが不思議とプレッシャーは感じません。
もちろん欲しい作品であれば、どんなに人と目が合おうと買うし、横のレイアウトに変えれば必ず売れ行きが上がるかと言われると難しいかもしれませんが、意外と新規勢が多いと聞くクリエーターマーケットでは作品を手に取ってもらったり近くで見てもらう機会を増やす工夫は大切だと思います。
特徴2:商品を陳列する位置が低い・手に取りにくい展示になっている
ブースを回っていて個人的に一番感じたことは、めちゃくちゃ歩いて疲れるということです。
そうなると、自然と目線が下から上になってきます。
なので陳列棚がラックになっていて、視線が上になっても作品が見えるようにしているブースが多い印象でした。
これは絵画などの作品に限らず、小物類を売るブースでも同じです。
机の上に作品を置くのではなく、デザインボードを縦にして、作品をぶら下げたり立てかけたりして、とにかく見せたい作品を上の位置に持っていくといいのかなと思いました。
デザインボードではなく、スチールラックで商品棚を作ってしまうのもいいなと思ってみていました。
特徴3:作品にオリジナル性・個性がない
今回見ていて一番思ったことは個性的な作品はやはり手に取りやすいし、買われやすいかなと思いました。
これは「奇抜であれ」という意味ではありません。
奇抜すぎるものは目を引きますが、買われるかと言われると難しい気がします。
これは出品者全体の傾向でもありますが、ジュエル(指輪やネックレス)や、アクセサリー(ヘアゴムやヘアピンなど)系は出品者が多かったです。
他にも革製品の財布やキーケースやTシャツを売っている方も多かったです。
これらのブースは他の出品者と比べて何かしら個性や特徴がないと差別化が難しいなと思いました。
特徴4:雰囲気が暗い、世界観が感じられない
これは主観が入るので、特徴として入れるかどうか迷いましたが、人が集まっているブースは雰囲気が明るく近づきやすい印象がありました。
逆に商品を手に取ってもらえていないブースは、どことなく雰囲気が暗かったです。
やはり作品を買うか買わないかは、出店者、作品といった全体の世界観を見ている側は読み取っているのだと思います。
例えば私は「耳かき」を購入しました。
それは竹を切り出して作られたもので、レイアウト的には出品者が真ん中にどかっと座っていて愛想笑いもせず近寄りがたかったのですが、まさに「職人」という感じで一目で「この人の商品が欲しい」と思いました。
このように売っているものと、出品者のイメージが一致すると雰囲気が暗くてもOKというパターンもあるでしょう。
何が言いたいかというと出品者も参加者から見れば作品の一部なのだと私は思いました。
特徴5:パッと目を引く何かが無い
5つ目の特徴としては引きとなる、何か目立つ作品なりオブジェクトがあると人寄せになるなと思いました。
当たり前ですが、クリエーターズマーケットに参加している人のことを参加者はほとんど知りません。(ファン以外は)
そのためそのブースを象徴するようなものが高めに飾ってあると、「あ、ここはこれが売っているブースなのか」とわかり、近寄りやすかったです。
例えば絵を売っている人であれば代表作のような絵を1枚、目立つところに飾っておくとインパクトがあります。
「ブースの象徴となるような作品なんてないよ・・・作っているの小物系だし・・・」と思われる方も多いかと思いますが、「作品以外」で目をひいているブースもたくさんありました。
例えばまな板を売っているブースがあったのですが、立てかけるスタンドで個性を出していて思わず近づいて手に取ってしまいました。
他にもポップなどで人目を惹きつけるブースも多かったです。
以下の例ではたくさんの「什器足りてる?」というポップが目に入ってきて記憶にもめちゃくちゃ残っているブースです。
数は少なかったですが、タブレットで作品に関する映像を流しているブースもありました。
これは変化球ですが、「〇〇県から来ました!」や「元〇〇」など、商品ではなく出品者に興味を持たせるようなポップもあって、割と人だかりができていたと思います。
遠方から来たんだなと思うと情が湧くので、思わず作品を手に取って買ってしまったりします。
かなり個性的ではありますが、大きなオブジェクトを作ってブースに置くことで自分達のブースを目立たせている人もいました。
売れるブースの特徴を考える
ここからはクリエーターズマーケットで売れるブースの特徴を考えます。
売れないブース特徴をひっくり返せば、売れるブースになるというわけではなく、やはり売り上げを高めるためにはマイナスをゼロにするのではなくプラスになる動きも別軸で必要になるでしょう。
なので「クリエイターズマーケットは全然売れない!」と嘆かれている方へ、一緒に売れるブースの特徴を考えてみたいと思います。
特徴1:すでにブランドとして知名度・ファンがついている
これは作品を売るためには滅茶苦茶重要な要素だと思っていますが、自分の作品をブランドのように展開しておくことは間違いなく有効です。
いわゆる「リピーター」と思われる客を何度も見かけました。
人気のある出品者には固定客がつくので、必然的に売り上げが安定して出すことができるのだと思います。
ブランディングとしては「キャラクターグッズ」としての発信が一番一般的かなと思います。
「出品者自身のネームバリュー」というブランディングのさせ方も最近では考えられるでしょう。
instagramやyoutubeでの露出を増やすことは、売上を伸ばすうえでメリットしかない気がします。
特徴2:作品に個性がある
作品に個性があることも売り上げアップに一役買うと思われます。
特徴1のようにクリエイターズマーケットに参加する以前から知られているようなブースは別ですが、結構突発的に購入意欲をそそられる作品は、「普段目にしないようなもの」が大半でした。
何か日常において「買い替える」のではなく、「新しい出会い」を参加者は求めている傾向にあると思います。
「どこまでが個性なんだ?」「個性ってなんだ?」と思われるかもしれませんが、こればっかりは定石化できるようなものではなく、個々人で考えるべきポイントだと思います。
特徴3:陳列にこだわりがある
売れるブースは陳列にこだわりがあるなと見ていて感じました。
「これは何が置いてあるブースなんだろう?」と疑問を持たずに作品を見ることができるところが好印象だったと思います。
特にシールやアクセサリーは出品数も多いと思いますが、できれば一目で作品の特徴がつかめられるような陳列の仕方にするべきかなと思いました。
というのも参加者側も結構流れ作業的に作品を見て回っているので「これは何だろう」とマジマジと見るよりも、「あ、ここは何屋さんなんだ」とわかったうえで近づいていくと思いました。
小物ではなく、大きさのある作品を置いている場合は有孔ボードなどでぶら下げて陳列したり、ラックを作って段々にして作品を展示すると見栄えが良くなると思います。
絵画のようなものは、上に大きなキャンパス、下に行くほどサイズが小さくなっていく、という視線誘導をすると手に取りやすい陳列の仕方になると思います。
特徴4:ブースに統一感がある
作品を買う理由は人それぞれだと思いますが、用途以外にも「好きな色だった」や「琴線に触れる」ものを買う傾向にあると思いました。
例えば「黒と紫」という色が好きな人は、売っているものがなんであれ、以下のブースのものを手に取ると思います。
もっと極端な例でいえば、パステルグリーンみたいな色が好きな人はこちらのブースに近づいていくと思います。
このように、人が興味を持つのは作品ばかりではありません。
「人の好みのもの」という特徴がブースに統一感を持たせられるのであれば、作品は認知してもらいやすくなりますし、売れやすくなると思います。
クリエイターズマーケットの参加者は「空想」や「幻想」、「化学式」みたいなキーワードに反応する人が多い気がします(あくまでイメージですが)。
そういった中二病的なエッセンスを作品やブースの中に取り込むのも、認知を広げるためには必要なことかもしれません。
特徴5:手作り感がある
作品を手にとってみようと思える特徴に「手作り感」もあると思います。
今回参加してみて思ったことは、量産型のキット作品みたいなもの売っている人が多いなということでした。
手作りしているとは思うのですが、テンプレート作品のようなどこかで見たことのあるようなものよりも、一つ一つ手作りしたんだなと思えるもののほうが目立つ場だと思います。
量産品のようなすっきりとしたデザインのほうが日用品であれば大切なのかもしれませんが、クリエイターズマーケットのような場所では武骨な荒々しい作品でも問題ないです。
以上がクリエイターズマーケットで売れていそうなブースの特徴でした。
「新参者がなんか言ってるな」というくらい軽い気持ちで読んでもらえればと思いますが、2回目、3回目と参加していくと意見が変わってくるかもしれません。
名刺はマストで用意して、TwitterやInstagramのQRコードを載せる
これは特徴ではないので、書くか迷いましたが、クリエイターズマーケットはとにかく出品者がたくさんいるので予算的にも気に入った商品をすべて買えない人もいるかと思います。
そのため家に帰って、少し時間が経ってから買おうと思う人も少なからずいるはずです。
今回すべてののブースを見て回りましたが意外とSNSへのQRコードを展示していたり、自分のホームページへの導線を用意していない人が多くいた印象です。
名刺を置くためのブースも現地では用意されていましたが、出品者に比べてまばらな数だったと思います。
せっかく顧客との接点が生まれやすい場ですので、自分のサイトをお持ちの方にはぜひ名刺タイプの自己紹介カードを用意してもらえると、参加者としてもうれしいなと思います。
こだわるべきポイントとこだわらなくてもいいポイント
ここからは、ここは意識してブースの設置をしたほうがいいかもと思ったポイントを紹介しておきます。
割と金額は二の次
以外だったのは、買おうと思うとき、金額は二の次だったりします。
買うと決めてから金額を見る動きになるイメージでしょうか。
実際あまりいませんでしたが、金額や決済方法(paypay使えますなど)を割と大きく印刷しているブースがありましたが、購入者はあんまり意識していません。(必要ではありますが)
あくまで自分の作った作品が最高に輝けるブースの設置を目指したほうが結果的に売れる気がしました。
商品棚は目線に合わせて高くしたほうがいいかも
参加者の目線は高くなります。
出品者からすると売り物のほうに目が行くと思いがちですが、上にあるものから下にあるものに目線が動くので、キャッチーな作品は極力上に配置して、最終的に売りたいものを下に設置しているのが定石かなと思いました。
歩くのに疲れてくるとさらに視線は上に上に上がっていきます。
なので見本を上に配置するのも効果的かと思います。
小さなブースを最大限活用する
地面を見るとわかりましたが、割り当てられているブース用の面積はかなり狭いです。
なのですぐ隣のブースの商品に目がうつったり、別のものに意識が飛びがちです。
出店のように暖簾を作ってほかのブースとの目隠しにしたりすることは、参加者を作品に集中させるためにも有効だと思いました。
見ているとわかりますが、狭いブースを最大限活用しようと、出品者たちの工夫が見て取れます。
ただ机の上に作品を並べるだけではもったいので、参加者の目線を意識的に遮るようなところもこだわっていいポイントではないかなと思います。
あと、場所によっては端っこのブースが割り当てられることもあるでしょう。
そうしたところは机をL字型に並べて空間を有効活用していました。
出展者が現地で何をしているかも重要?
作品に興味が沸くかは、作品以外にも要素があります。
それが出品者本人です。
例えばハンコ消しゴムを作っているブースがありましたが、この方は自席で実演をしていました。
クリエイターズマーケットのような場所の作品は「どうやって作ってるんだろう」という気持ちも参加者にはあります。
それを満たしてくれるような出品者のふるまいは人寄せ効果もあると思いました。
まとめ:参加者は非日常感に浸りたい
以上がクリエイターズマーケットに初参加してみて思った、売れないブースと売れるブースの違いです。
まるまる1日眺めて回りましたが、非日常感が心地よかったです。
あとはクリエーターの方々の熱量を感じることができたのもの楽しさの一つだったと思います。
もちろん売れたほうがいいとは思いますが、売れる売れないが正義ではない気がします。
それよりも「自分はこんなものが好きで、こんなものを作ってるんだよ!」ということを精一杯伝えることを第一と考えたほうが、ファンもついてくる気がしました。
売れやすいもの、売れにくいものあるかと思いますが、そこを超えた先に何か特別なものが待っていると信じたいです。
以上です。
読んでいただきありがとうございます。
番外編:個人的にもっと増えてほしいと思ったジャンル
個人的に思ったことですが、ペットに関する商品はもっと増えてもいいし、売れやすいのではないかと思いました。
今回参加したマーケットでは猫の首輪を売っているブースがあったのですが、なかなかの値段ですがかなり人も多く売れていたように思います。
猫や犬を題材にした、絵やステッカー、Tシャツ、キャラクターグッズを売っているブースは多くありましたが、実際のペット向けの作品を販売しているブースは驚くほどなかったです。
そしてペット関連になると、人は財布の紐が緩くなります(経験則)。
もしも自分が作っている作品のなかでペットに身に着けさせるものや、ペットの周辺グッズに生かせるものがあればぜひ考えてみてください。
おそらく買わせていただくと思います(笑)。