微ネタバレ注意!『本と鍵の季節』あらすじと感想

2019年6月3日

※まだ読んでいない方は、微ネタバレ注意ですが、短編ごとの結末は書いておりません。よろしくお願いします。

「本と鍵の季節」の感想

作者の米澤穂信さんについて

まずは、米澤穂信さんについて紹介します。

1978年岐阜県出身。デビュー作「氷菓」で2001年第5回角川学園小説大賞ヤングミステリー&ホラー部門の奨励賞を受賞。この氷菓から、「愚者のエンドロール」「クドリャフカの順番」「遠回りする雛」「ふたりの距離の概算」「いまさら翼といわれても」までの古典部シリーズが人気で、アニメ化や映画化されている。他にも、小市民シリーズやベルーフシリーズがある。

アニメ「氷菓」舞台は米澤さんの出身地である岐阜県

本と鍵の季節 について

本作は古典部シリーズや小市民シリーズと同じ学生の推理小説です。

価格は単行本で1,400円(税抜き)

東京の公立高校に通う図書委員の男子高校生2人が図書室に持ち込まれる謎を解いていくのですが、全部で6編構成になっておりとても読みやすいなと思いました。

主人公は堀川次郎と松倉詩門です。この二人はクラスが違うのですが、同じ高校2年生で、たまたま図書委員となり知り合った仲です。

本書は堀川くん側で物語が書かれており、読者はとても読み易くなっていると思いました。

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ある日、図書委員を退いた3年生の浦上先輩が図書室にやってきて、「アルバイトしないか」と持ちかけた。内容は亡くなってしまった祖父の金庫を開けてほしいとのこと。その中には、先輩が大人になったら祖父がプレゼントする予定だった宝物が入っているとのこと。金庫を開けるヒントが祖父の書斎にあるようだった。

2人は先輩の家を訪問。そこにはダイヤル式の金庫があった。ダイヤルは1から90まで十刻みで数字が刻まれていた。2人は何かヒントになるものはないか、書斎を見渡すとたくさん並んだ本棚の中に棚が入っており、いくつかの本が収納されていた。

内山和典 「日本の観光・世界の観光 旅行代理店を超えて」

佐藤俊夫 「確率論概説」

浮田夏子 「はやわかり商法」

狭川信 「放牧の今日」

さらに、この棚には過去に付箋が付いていて『要返却』と書かれていたという。ここに並んでいる本の分類記号から、これはダイヤルの番号に違いないと思い、2人は遂にダイヤルの番号を解き明かした。

しかし、先輩にはある秘密があり、本当の鍵の番号は先輩に知られてはいけないことが分かった。そこで、2人は先輩に嘘の回答をすることにした。

ロックオンロッカー

2人はあるきっかけで、堀川が行きつけにしている美容院へ一緒に散髪をすることになった。男子2人で一緒に散髪をするという、なかなかないシチュレーションに戸惑う堀川。2人で訪れた美容院で密かにおきた事件を松倉が解き明かす。

2人で予約をしていった美容院を訪れると、おしゃれなシャツを着た男性に迎えられた。

「お電話でお受けした近藤です」

近藤さんは、“笑顔だけで目は眠そう”だった。今日は近藤さんが担当なのか?と思った矢先に、店長らしき人物が奥からやってきた。挨拶もソコソコにした後店長は、

「本日のメニューは伺っております。お好みは担当の者がお伺いいたします。松倉様、恐れいりますがまずは会員カードをお作りいただけますか」

と言うと、松倉に一人のスタッフがクリップボードを渡した。松倉は立ったまま自分の名前を書き入れた。

すると、近藤さんが小さなビニールバックを持っている。近藤さんは

「店長、ご案内は」おずおずと言うと、店長は明るく

「ああ、僕がやるから」

とバックを受けとった。この美容院は店の奥にロッカーブースを設けており、そこに荷物を預けるようになっているが、貴重品はビニールバックに入れて手元に持って行くシステムだ。店長は2人に

「貴重品は必ずお手元にお持ちくださいね」

と言った。ロッカーに荷物を置いてビニールバックに財布と携帯を入れた後、カットに進む。カットをしている間、松倉は堀川にさっきの店長が言った“貴重品は必ずお手元にお持ちください”と言う言葉の真意は何かと聞いてくる。普段は、”貴重品はお手元にお持ち下さい“という言葉に”必ず“という言葉が付くと、なにか十分に注意をしなくてはいけない気持ちになる。そこに、店長がやってきた。

「恐れいりますが、8時の閉店時間が近いものですから、レジの精算をいたします。先にお会計をいただいてよろしいでしょうか」

と伝えてきた。ああ、なんだそういうことかと2人はカット代の精算をした。

カットが終了し、先程のロッカーに戻ってきた2人。そこに新しいお客さんらしき人が3人やってきた。あれ?もうすぐ閉店時間だと言っていたのに?おかしいと思ったが、”カットモデルか何かだろう“と思い、店を出た。

ところが、松倉は少し離れて美容院を見てみようと、堀川を誘ってきた。面白い見世物が見られそうだと言うのだ。

金曜に彼は何をしたのか

いつものように、委員会の仕事に勤しむ2人に加えて今日は後輩の植田がいた。植田には兄がおり、学校で不良で知られていた。植田が今日は2人に相談があるとやってきたのだ。

ある日、学校の窓ガラスが割られているのが発見され真っ先に疑われたのが、植田の兄である昇だった。だが、実際に昇は窓ガラスなど割っておらず、ガラスが割られたであろう金曜の夜はどこか別の場所へ出かけていたという。だが、そればどこなのか分からない。分かれば、昇の無実が証明できるので別の場所へ出かけていた証拠を一緒に探して欲しいということだった。

昇が直接、学校に無実であることを証明すれば良いと、2人は提案したが昇は

「証拠があるから大丈夫だ」

と植田に伝えたようだ。その証拠を探し出せば、昇の無実は証明できる。

植田の実家にそのまま行くことになった2人は、昇と一緒に使用している部屋へ案内される。

アリバイを証明したいのは、最後の先生が学校を出た金曜の夜7時ごろから土曜日の朝休日出勤で出てきた先生が見つけた時間まで。長い時間だったが、近所住民がガラスを割られるところを見たと言っているようだった。その時刻が夜7時半ごろ。日没時間はこの季節7時ごろなので、事件発生時はきっと暗かったのだろう。

昇は植田に金曜日の夕方に帰りが遅くなることを伝える電話をしていた。話している間に電話の向こうで発車ベルが鳴り始めた。そのメロディーには聞き覚えがあり、北八王子市駅だと言う。その電話がったのが、金曜日の午後5時6分。

まとめるとこうなる

17時6分 植田昇 北八王子市駅から電話

19時半 窓ガラスが割られる

22時 植田昇 帰宅

注意:駅から学校までは徒歩20分

ここに、北八王子市駅から発着する電車の情報と日没時間を追加した。

17時6分 植田昇 北八王子市駅から電話

17時6分 中央線上り発

19時1分 日没

19時半 窓ガラスが割られる

22時 植田昇 帰宅

注意:駅から学校までは徒歩20分

さて、これらの情報から植田昇のアリバイは証明できるのか?

ない本

ある日3年生の香田努という男子生徒が自殺した。その香田が最後に読んでいた本を探したいと、図書室に長谷川という3年の男子生徒が訪ねてくる。

なんという本か堀川が尋ねるが、題名がわからないという。

「死ぬ何日か前に、放課後の教室であいつに会ったんだ。すごい夕焼けでな、教室にはあいつ一人しかいなかった。本を読んでたよ。俺が入ってきたのを見ると、ちょっと笑って本を閉じた」

「机の上には本のほかに便箋みたいな紙があって、何か書いてあるみたいだった…。シャープペンも机に出ていたから、書いた直後だったかもしれない。習字でもやっていたのか、高校生らしくもないとんでもなくきれいな字を書くやつだったんだ。去年の文化祭で、しおりの表紙に題字を書いたのもあいつだよ」

そして、便箋は香田がその時に持っていた本に挟んだようだった、と長谷川先輩は言った。その挟んだ便箋が香田の遺書ではないか?そう長谷川先輩は考え、その本を探して欲しいという。

果たして、二人はこれだけの情報で香田先輩が最後に読んでいた本を見つけることができるのか?

昔話を聞かせておくれよ

ある日、松倉が昔話をしようと言い出した。当然ながら松倉に昔話を提案されるのは初めてだった。一体何を企んでいるのか。松倉の昔話はこんな内容だった。

6年前の話

①現金を溜め込んでいる自営業者がいた

②近所で窃盗事件が多発し、警察が気をつけた方がいいと警告に来た

③自営業者が現金を移した

④警察官が窃盗で逮捕され、偽警官だと判明した

⑤自営業者は、移した現金を自宅に戻す前に死亡した

⑥息子が現金の行方を捜している

堀川はその話をする松倉の表情から、これは松倉の父親の話である事を見抜き、2人で一緒にどこかへ隠されたお金を探す事になった。さて、隠された現金は発見できるのか?

友よ知るなかれ

土曜日の朝、堀川は市内の図書館へ昔の新聞記事を探しに出掛けた。松倉との宝探しには絶対にうまくいかないはずだったことが、うまくいってしまっていた。その理由を知るために図書館に来た。

2人で松倉の父親が隠したという現金を捜索していた中で判明したのは

⑦松倉の父親はバンを持っていた

⑧バンは月極駐車場に駐められていた

⑨バンの中に鍵があった(どこかの部屋の鍵のようだ)

松倉の話に嘘がないのであれば、自営業者は死んだので死者は駐車場を借りれないし、賃料だって払い続ける事は出来ない。

図書館にあるパソコンで6年前の新聞記事を探した。そこで見つかった記事で、堀川はこの宝探しの真相を知る事になる

読み終わった感想

いや、とっても良かったです。文章も読みやすかったですし、何より読者が堀川二郎くん目線でこの小説読み進めていけたことがこの6編を読み終えて良かったなと思いました。もし、これが松倉詩門くん目線だとまた少し違う小説になったんじゃないかなと思います。

本の最後、堀川が図書室で松倉を待つ所で終わっていますが、これは続編がありそうな予感ですね。

この本の最終ページ。松倉くんは現れるのか…

古典部シリーズを読んだ若しくは氷菓をアニメや映画で見たことがある方は、とてもこの小説に入り込みやすいと思います。堀川くんと松倉くんがまるで折木くんと福部くんのようでした。

単行本を書店で購入した際に粋な栞が付いていました。貸出カード風になっている!

これは、図書室や図書館に幼少期通っていた私にはたまりません!

読書家が集まるサイト「読書メーター」の「読みたい本ランキング(単行本)」では、10位でした。※2019年3月26日調べ

本と鍵の季節 みんなの感想まとめ

Twitterからみんなの感想を見てみました。

https://twitter.com/mochiguman635/status/1123440203576807425

これから、また上位に上がってくるかもしれません。文庫本の発売にも期待です。

以上、最後まで読んでいただきありがとうございました。

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sensiki

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名前:sensiki 職業:サラリーマン。いわゆる理系男子で大学からプログラミングを学び仕事でも活用中。好きな言語はPython。流行に疎いこともあり最近の話題を独自の視点でまとめていこうと思いブログ開始。スクレイピングや統計を用いたエントリを書きたいと思いまながらツールを作成中。

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