詭弁のわかりやすい具体例と反論・対処方法に関する備忘録(ひろゆき対策)

豆知識

昨今、twitterやFacebook、インスタグラムやYoutubeのコメント欄など、気軽に人々がネットへ文章を残すことが加速しています。

このこと自体は技術の進化が可能にした人類の叡智であり、喜ばしいことなのは間違いありません。

しかし、それが原因でネット上では言い争いが絶えず起きており、人々の意識の中で少なからず軋轢を生んでいると思われる。

もちろんネットが発達する前から論争というのは起きているが、それでも不特定多数の人間が相手の顔や名前すら知らない状況で争うというのは人類史上類を見ない現象であることは間違いないでしょう。

そしてネット上で起きている議論の多くは論理的な破綻している文章が多い印象です。

「言われてみるとそんな気がするが、なんかモヤモヤした気分になる主張」を少なからず見かけたことがあるだろう。

それは「誤謬(ごびゅう)」と呼ばれ、言っている本人は論理的に主張しているつもりでもその辻褄が合わない誤った主張のことを指します。

本人も気づいていないので間違いを指摘してあげればいいのですが、悪意を持って相手をに意見を押し付ける(論破する)ためにあえて使われる誤謬のことを「詭弁(きべん)」と言います。

最近は「ひろゆき」というネット芸人の方がよく使う手法ということで注目が集まる言葉ですね。(この人は昔から変わってませんが)

私自身、詭弁について調べてみたのですがわかりにくい具体例であったり、調べてもよくわからないという状況になったので改めて自分で備忘録の意味も兼ねてエントリしておこうと思います。

詭弁とは(わかりやすく言うと)

自分の意見を主張するために、相手を言いくるめようとする話し方のことです。

ネット芸人の「ひろゆき」みたいな話し方を想像してもらえれば大丈夫です。(あの人は「詭弁と擬人化」みたいな人なので)

詭弁に対する対策方法

これは他のところでも言われていますが、基本的に「無視」が一番の対策方法になります。

ですが、「無視」をすると何故か「答えられなかった」の烙印が押され「はい論破」と謎の勝ち鬨を上げられる可能性があります。

そのため詭弁に対する簡単な対処法として、おすすめする方法は「逆に聞く」です。

詭弁論者の言うことに正しい論理はないので、相手が提示してきた条件や問いを言い換えて向こうに答えさせるのがおすすめです。

ここは具体例を見た方が早いと思うので、詭弁の具体例を備忘録がてら書いていこうと思います。

詭弁の具体例

ここからは実際に詭弁の具体例を挙げながら反論も書いていきます。

詭弁を使ってくる面倒臭い人の対処方法の例としてお使いください。

ひろゆき「唐揚げにレモンをかける派は頭が悪い」

ひろゆき:えっと僕がかけないことを選んだ時に、かけたい人はかけれるし、かけない人はかけなくてままで~。

どっちのほうが幸せになるかっていう総数でいくと~僕がかけない方が幸せになる総数が増えるんじゃないかな~と思いました。

〜略〜

かけないで食べたいっていう人の自由を奪うわけじゃないですかあ?それはマナー違反じゃないですか?

https://www.youtube.com/watch?v=Ac5TDzFSchw

レモンをかけることと、頭の悪さは繋がらないことはお分かりかと思います。

動画内でマナー講師が言っているように、「レモンかけてもいいですか?」と一声掛ければいいだけの話です。

最後の「レモンをかけること」=「人の自由を奪う」と繋げるのも「わら人形論法(拡大解釈パターン)」でひろゆきが最も使う手法の一つです。

これに関しては「自由を奪うとは一言も言っていません、レモンをかけると言っただけです」と反論すればよい。

もしくは「レモンをかけることが他者の自由を奪うことになるのであれば、ひろゆきさんはどうやって生活しているのですか?例えば唐揚げを頼んだ時点で唐揚げを食べたくない人の自由を奪っていることになりませんか?」とオウム返しすればよい。

仮に「唐揚げを食べたくない人は食べなければいいじゃないですか」と返ってくるようであれば、「それはレモンをかけることでも同じことです」で、この不毛なやりとりは終わるでしょう。

国家の面子を守ることと、国民の生命を守ることの、どちらが大切なのか?

例えば、二〇〇四年四月に、イラクで三人の日本人が武装した集団に拉致され、人質になるという事件が起きた。その集団は、三人の命と引き換えに、自衛隊のイラクからの撤退を要求したが、当然ながら日本政府はこれを拒否した。それに対し、人質の家族の一人が、次のように問いかけた。

国家の面子を守ることと、国民の生命を守ることの、どちらが大切なのか?

香西 秀信. 論より詭弁~反論理的思考のすすめ~ (Japanese Edition) (pp.48-49). Kindle 版.

これは「問いの詭弁」です。

質問者は問いに対して自分の有利な言葉を都合よく選ぶことができます。

今回の場合、国家側は非常に答えづらい質問になっている。

それは「国家の面子を守ること」の「人質の命」という比べられないものを、あえて比べる質問がされているからです。

こういった質問に馬鹿正直に答えると「では自衛隊を撤退させよ」や、「遺族に対してなんて態度だ」と揚げ足を取られます。

こういった場合は対立している関係性を崩すような質問をするほかありません。

「要求を飲んだところで、本当に人質を解放するという保証がありませんがいかがお考えですか」と。

死刑論者「国家に人を殺す権利があるのか?」

死刑論者がよく毒づいてくる問いとして、国家の権利があるのかどうかと言われます。

「ある」とも「ない」とも言いづらいですよね。

しかし、これも「問いの詭弁」なので、逆に問いかけてあげれば良いです。

死刑論者の主張として、死刑の代わりに禁錮刑や懲役刑は賛成していることが多いので

「では国家に人を監禁する権利はあるのですか?」

「国家に強制的に労働を強いる権利があるのですか?」逆に聞いてやります

そうすると大体の人は、「重犯罪を犯しているのだから仕方ない」と言ってくるので、「それは死刑でも同じことです」と言えば相手は勝手に自滅します。

ハンバーガーとコーラは世界で一番売れているから、世界で一番美味いもの

そんなことないですね。

そもそも「美味い」が主観になる以上、「一番」と言う修飾語を付けることはできません。

ちなみにこれを言われたら、「一番人口が多いものが一番良い」にして聞き返せばいいです。

例えば「日本で平成の間に最も売れた食品は「シャウエッセンポークあらびきウインナー」です。ウィンナーが日本で一番美味い食品と言ってもいいんですか?」

「日本で一番売れた曲は「およげ!たいやきくん」ですが、日本で一番いい曲なのは「およげ!たいやきくん」なんですか?」

「世界で一番人口の多いスポーツはバレーボールですが、バレーボールが世界で一番面白いスポーツなんですか?」

仮に「およげ!たいやきくん!が日本で一番いい曲だ」と答えてきたら、鼻で笑って「そうですか、わかりました」と言ってその場を後にすればいいでしょう。

詭弁は基本的に「弱者」の物であることを理解する

本質的な話になりますが、詭弁を使って誰かを論破したつもりになったところで世界は何も変わりません。

自分の自尊心が少し満たされて、また虚しい思いになるだけです。

もっと言うと、議論に世界を変える力はないと思った方がいいでしょう。

本当に世界を変えたいなら、裏から根回しをしたり人脈を広げることに時間を使った方が有意義です。

リアリストは議論もしますが、行動をしていますし、世の中はそういう人に動かされています。

Youtubeで詭弁を垂れ流している人々は本当に世界を変えようとは思っていません。

ただマウントを取って勝ち誇りたいだけです。

一見すると弱者(自分)の意見を代弁してくれているように感じるかもしれませんが、これは弱者の特徴でもありますが、それを見て賞賛し、日頃の鬱憤を晴らしているような人もまた弱者です。

論理的思考力や議論の能力など、所詮は弱者の当てにならない護身術である。強者には、そんなものは要らない。いわゆる議論のルールなど、弱者の甘え以外の何ものでもない。他人の議論をルール違反だの詭弁だのと言って非難するのは、「後生だから、そんな手を使わんで下され」と弱者が悲鳴を上げているのだ。そして、そのような悲鳴にすぎないものを、偉そうに、勝ち誇って告げるのも、また弱者の特徴である

香西 秀信. 論より詭弁~反論理的思考のすすめ~ (Japanese Edition) (pp.6-7). Kindle 版.

詭弁について知識を深めたいという方のお役に立てれば幸いです。

参考資料

論より詭弁 反論理的思考のすすめ
著者は、論理的思考の研究と教育に、多少は関わってきた人間である。その著者が、なぜ論理的思考にこんな憎まれ口ばかりきくのかといえば、それが、論者間の人間関係を考慮の埒外において成立しているように見えるからである。あるいは(結局は同じことなのであるが)、対等の人間関係というものを前提として成り立っているように思えるからである。だが、われわれが議論するほとんどの場において、われわれと相手と人間関係は対等ではない。われわれは大抵の場合、偏った力関係の中で議論する。そうした議論においては、真空状態で純粋培養された論理的思考力は十分には機能しない。


矛盾、誤謬、詭弁、強弁、偽善、屁理屈
日本語における複雑な概念の「曖昧」を探求した作品。 非形式的な「誤謬」が、いろいろな場面で使用されていることを解説。 政治や司法からの国民性に至るまで、その日本社会への浸透を探る。


レトリックと詭弁 ─禁断の議論術講座
「沈黙を強いる問い」「論点のすり替え」「二者択一の力」…議論に仕掛けられた巧妙な罠。非がないにも関わらず術中に嵌って沈黙せざるを得なかった経験はないか。護「心」術としての議論術を身につける!古今東西の文学作品その他から、面白い議論術や詭弁・強弁を集めて分析。読み物としても楽しめる一冊。


豆知識

Posted by sensiki