なぜアニメ「MFゴースト(1期)」は微妙でつまらなかったのか
2023年10月から12話放送された公道最速理論提唱アニメ「MFゴースト」。
伝説的走り屋アニメ「頭文字D」の続編ということで期待度もマックスでした。
12話終えたところですぐさま2期の放送が決定。2024年に放送されることが発表されました。(具体的にいつ放送なのかは未定)
では1クール目の評価は一体どうなんでしょうか?巷では「面白い」という意見の方が多そうに見えますが、今回12話を全て見た上での正直な感想としては「微妙」でした。
それについて語っていきます。ちなみに原作の漫画版「MFゴースト」は未読で、頭文字Dはアニメ、漫画ともに視聴読了完了しています。
ちなみに「緒方が萌えキャラ」とか「カナタがかっこいい」とかそういうしょうもない見方をしているレビューではないので悪しからず。
よかった点
MFゴーストのアニメ12話全体の感想としてはあまり良いものではありませんでしたが、良かった点ももちろんあります。
2話:片桐夏向と藤原拓海のドリフトがダブって見える演出
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MFゴーストで最初に興奮したのはカナタが小田原パイクスピーク予選で魅せた超高速4輪ドリフトのシーン。
藤原拓海のAE86が夜の公道を駆け抜けていくシーンが追加されていました。
この演出にはとても興奮しました。
というのもMFゴーストを見るモチベーションの一つが「頭文字Dの続編だから」という人も少なくないと思います。
頭文字Dに出てきたキャラが出てくれば懐かしさと安心感から興奮しますし、AE86という伝説の豆腐屋マシンが出てくればなおさらです。
BGMも相まってこのシーンはとても楽しめました。緒方さんのインカムでの伝達も声優のテンションも相まって燃えました。
ユーロビートを流してくれてありがとう
新劇場版頭文字Dは多くの点で最悪な映像作品ですが、BGMにユーロビートを採用しないことへ批判をしている人も多くいました。
MFGはPVの時点からユーロビートを流していて、それは嬉しかったです。
実況の田中
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頭文字Dにはなかったエッセンスとして、実況の田中さんの存在は多いと思います。
どんなに頭文字Dが面白いアニメだったとしても第1話の放送は1998年です。完結したのは2014年ですがそれでも10年以上前の作品になってしまいます。
TV版頭文字Dは夜中の公道で、あくまで内輪だけの盛り上がりだったのに対してMFゴーストはスポーツの一種であり、車に興味のない一般ピーブルにも状況を伝えなくてはいけません。
車に興味のない人がレースを楽しめるように生み出されたキャラクターだとは思いますが、それが今の時代にマッチしていて良いなと思いました。(テンションの高い実況もレース物とマッチしますし)
頭文字Dに出てきたキャラクターがTVアニメ版の声優だったこと
あの史上最低の映像作品である劇場版頭文字Dの声優ではなく、TVアニメ版の声優を起用してくれたことは素直に良かったです。
断言しますが劇場版頭文字Dのキャスティングは全く合っていません。
TVアニメ版の方がいいという訳ではなく、完全にキャラクター性と声質が合ってません。客寄せパンダとしての声優起用としか思えません。
声優に関しては1stPVの制作発表段階からTVアニメ版の声優が起用されることはわかっていましたが、実際にアニメを見て声が昔のままであることに聞いていてホッとしました。
実車の音を使っていること
公式のyoutubeチャンネルにエンジンの収録シーンなどが公開されていましたが、実車にマイクをつけたりしていて音にはこだわりを持って収録していそうで良かったです。
これはTVアニメ版制作の流れを今でも受け継いでいるのだと思います。
音響監督も「頭文字D first stage」からお馴染み「三間雅文さん」が担当されています。
実際のアニメも無闇にBGMを鳴らさず、エンジン音を聞きやすくするように音楽が鳴っていないシーンも多かった印象です。
ちなみに旧イニシャルDの音の収録は土屋圭市本人が協力しているのは有名な話。
悪かった点
ここからは悪かった点です。いろいろな観点や考え方があるかと思いますがとりあえず列挙していきます。
AE86のナンバーが新劇場版のものになっている
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良かった点でAE86がフラッシュバックするシーンを挙げましたが、同時に萎えた点としてはカーナンバーが新劇場版のものだったことです。
なんで声優はTV版でこっちは新劇場版なんですかねー。
見た瞬間一気に萎えました。テンション爆上がりしてその後一気に下げてくるという意地の悪い演出です。
チラッと見せるだけにとどめてるのがさらに腹が立ちます。
思い出の中でじっとしていてくれ。
話の構成が毎回同じで単調&テンポが悪くて不完全燃焼で終わる
3話くらいまでは楽しく見れていましたが、4話以降になると急激にダレました。
というのも毎話毎話構成が同じなんです。
日常回は置いておいて、レース回の流れとしては
「実況がレースの状況を解説&カナタ以外の出走者がちらほら映る」
↓
「エンジェルの様子や緒方の様子」
↓
「カナタがユーロービートに乗ってコーナー回って次へ」
こればっかりです。
いつも盛り上がりそうで盛り上がりきれず、不完全燃焼気味になってエンディングになります。
流石に同じ流れすぎて後半は見ていてキツかったです。
監督の引き出しの少なさが露呈した感じなのかなと思っています。
バトルシーンの描写が致命的につまらない
ここから本題です。
私としてはしげの漫画のキャラクターの恋愛模様など、キャラ性はあまり重要視しません。
やっぱり車の躍動感やリアリティのある熱いバトルを期待しています。
頭文字DのTV版は見事にそれに応えたことが名作たる所以だと思います。
それに比べてMFゴーストは車の描き方が本当にひどいです。これは劇場版の監督と同じだから仕方ないのかもしれませんが本当に残念です。
YoutubeのコメントやTwitter(X)などでは数人が指摘しているのを確認できますが具体的に何がひどいのかを書いている人は少ない印象なので、ここではちゃんと具体的に指摘していきたいと思います。
カウンターが当たってなくて車の挙動にリアリティを感じない
多くの人が指摘していたと思いますが、MFGのアニメではカウンターが描かれていません。
個人的に一番気になった部分です。
納期が厳しいアニメ制作において、全てのコーナーでカウンターを描くのは難しいかもしれませんね(皮肉)。
と最初は思っていたのですが、もしかして制作者サイドにカウンターを知っている人がいなかったのでは?と思ってしまえるくらいに描かれていません。
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カウンターステア云々の前に、そもそもこのアニメ、タイヤが全く動いていないです。
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まじでこれにOKを出した監督を問い詰めたい。よくこれで頭文字Dの後継を名乗れるなと思います。相当面の皮が厚いのでしょう。
動画で見るとさらに違和感があるでしょうから、以下の動画を見直すといいと思います。マジでタイヤ動いていません。
ちなみに頭文字Dはというと・・・。
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しっかり描かれていました。MFGを擁護するのであれば、final stageなどのCGではタイヤの演出は減っています。
first stage、second stageではここまでかというくらいカウンターステアを描写しています。
ファンの中で初期のアニメが人気が高いのも、細かいタイヤ描写までこだわる制作側の姿勢にあるのだと思います。
CGのレベルが上がっても、こだわりがなければ視聴者の心には響かないのだとMFGは教えてくれました。
出口からの定点カメラばっかりでカメラワークにバリエーションがない
とりあえず以下のキャプチャをご覧ください。
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もうお分かりだと思いますが、このカメラの位置使いすぎです。程よく使われているとかでなく、あまりにも過剰です。
ひどい時は同じようなカットが3連続で続きます。これも動画で見てもらった方が早いでしょう。
何が描きたいんでしょうか監督は。
奥から車が走ってきて尻を映すカット、奥から車が走ってきて、ちょっと俯瞰を映してその後また奥からのカット。
あまりにもカメラにバリエーションがありません。もううんざりです。
MFGを見ていて「なんかつまらない」と思ったとしたらそれは正しいと思います。
馬鹿の一つ覚えを見せられているのですから。
新劇場版から相変わらず無駄にカメラを斜めにしたがる病気
とりあえず以下のキャプチャを見てください。
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新劇場版ほどではありませんが、相変わらずカメラが斜めっていて見づらいです。
バトルシーンの魅せ方は頭文字Dと比較にならないほどレベルが下がっています。
車の挙動、カメラワーク、音楽の使い方、全てにおいてレベルが低いと言わざるをえません。
MFGは「雰囲気イケメン」ならぬ「雰囲気こだわってる」感で誤魔化しているだけの駄作に見える
MFGアニメを初見の時、「面白くないけど、何が面白くないのかわからない」という印象を受けました。
その後色々整理していくと上述の通り「車の挙動やドライバーの動きにリアリティを感じない」「カメラワークがヘボ」という二つの理由に行きつきました。
頭文字Dは「見れば見るほど味が出るアニメ」でしたが、MFGは「見れば見るほど味が出ない」という逆スルメのようなアニメです。
なんとなくですが、「雰囲気イケメン」という言葉を思い出しました。
元は悪いのに誤魔化していい風に見せている感じです。車へのこだわりも監督自身そんなにないのでは?と思ってしまいました。
もう監督を変えてくれませんか?
頭文字Dもですが、それぞれのstageで監督は変わっています。
それによって賛否(主に悪い方へ)はありましたが、MFGも監督変えませんかね。
新劇場版に引き続きMFGも酷かったと言わざるを得ません。
2024年にセカンドシーズンも控えていますが、私は多分見ないでしょう。
仮に公開されたとしても他のアニメと同じように、消費されるだけの凡アニメとして時が過ぎていくのでしょう。
名作の続編を凡人が作ってただの微妙でつまらないアニメになった。そんな歴史の教科書によくある事例の一つになるだけです。
とても残念に思います。