【BIツール体験談】PowerBIを導入したら会社全体が前に進んだ話②
前回セルフサービスBIに至るまでの過程を書きました。
当初はオンプレミスのBIツールを予定していましたが
調べていくうちにセルフサービスBIというものを発見し、それの導入に踏み切りました。
具体的にはMicrosoft製の「PowerBI」になります。
今回はセルフサービスBIである「PowerBI」導入までの過程を書いていこうと思います。
よろしくお願いいたします。
入社して間もない僕がセルフサービスBI(PowerBI)を使って中小企業にイノベーションをおこせた話②
業務効率化の先へ データ分析の必要性について考える
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「入社して間もない僕がセルフサービスBIを使って中小企業にイノベーションをおこせた話①」で書きましたが経営者層からデータの有効活用の話がでました。
今私が勤めている会社は所謂「経験」が最も重要です。(今は過去形ですが)
もちろん経験というのは必要ですが、会社というのは人員が入れ替わっていきます。
問題なのは会社がおこなった施策から得られる情報が個人のノウハウとなって、個人に溜まっていくことです。その個人が人事変更されるとノウハウが会社全体に共有されません。
人事は入れ替わり、後継として配属された人に対して業務のやり方は受け継がれますが、過去に会社がおこなった施策の具体的なデータのノウハウまでは受け継がれない状況こそが問題でした。
大きな会社に属している方からみると何を今更と言われるかもしれませんが、中小ではこれが実践されているの意外と少ないのかもしれません。(少なくとも私が属する会社はそうでした。)
そういった状況について危惧を感じている人ももちろん社内にはいて、そうした人が一緒になって何とかしたいと言ってくれました。
当初、「ERPパッケージ」を導入しようと私は考えていましたが、社内の総務の方が「BIツール」というものを探してきてくれて、紹介してくれました。
そこで私は初めて「BIツール」を知りました。
仕様やコンセプトを読めば読むほど今の会社の問題を解決するのに有用であることがわかり、すぐに導入の企画書を書きました。
当時会社は大きな転換期を迎え、新しい事に挑戦しやすい風潮であったこともあり、企画書は通りました。
では実際に数あるBIツールから何を選択するかというのが次の課題です。
MicroSoft製の「PowerBI」を採用、一週間でデモを作成
結論からいくとMicroSoft製のPowerBIを採用しました。
大きなメリットと感じたのは以下の部分です。
- お試し版(デスクトップ版)を使えば今日からBIツールを実際に使って体験することができる。
- イニシャルコスト、ランニングコストが安価
- 定期的なバージョンアップがある。
https://powerbi.microsoft.com/ja-jp/
当初はオンプレミスのBIツールを採用するつもりでした。
非常に使いやすいものであったと思いますが、イニシャルコストとランニングコストがネックになります。
データ分析の経験が無い会社には導入して得られるものが計り知れず、臆病になっていたと思います。
そこで最近「セルフサービスBIツール」というものが出てきたという情報がありました。
以前まではコストがかかるため大企業向けだったBIツールですが、クラウド上、またはローカルで動作するBIツールとして、中小企業に広がりを見せているというものです。
これを使えばすぐにお試しでBIツールを体験できるということで、体験版を使い大体1週間で、業務としてExcelで作っている定型分析を組んでみました。
最初こそ操作やETLの部分に慣れが必要でしたが特徴的なDAX関数も非常に便利で、すぐにそれなりのダッシュボードを作成することができました。
データソースはExcelのテーブル機能を使っていたのでデータ量はそれほど多くはありませんでしたがBIツールの有用性を感じるには十分です。
(ついでに言うとGoogle Analyticsなどの他サービスのデータも簡単に取り扱う事ができたことも大きいですね。デモでもAnalyticsのデータは使わせていただきました。)
デモを経営陣に見てもらい、そのままPowerBIの導入まで進みます。
唯一気がかりだったのが社内情報を外部に置くということでした。
がこの時点でオンプレミスのBIツールを導入するメリットがほとんど見えなくなっていたので情報のセキュリティポリシーだけ社内で協議し、クラウド型でも大丈夫との結論がでました。
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とりあえず見える化してみようの精神でBIを構築
「見える化」については統計学などの学んでいる人からするとすべてのデータを見える化する必要はないと思いますが、社内ではデータの可視化や分析についてのノウハウがほとんどありませんでした。
なのでPowerBIを使ってとにかく今持ち得ているデータを可視化していく精神でなんでもかんでも見える化していきました。
最近はBIの先でBA(Business Analytics)というものがあるそうですが、最初から高望みはせずコツコツとダッシュボードを増やしていきます。
とりあえず可視化してみることで「これは有用だろう」と思っていたデータもあまり、有用性がなかったり逆に「こんなものも見える化するの?」という指標から新たな発見につながる。
今までデータ抽出者など一部の人間しか感じられなかった新しい関係性の発見というワクワク感をエンドユーザーである社員全員が感じられるというのは本当に新鮮で面白い物でした。
それらの意見をフィードバックして私がBIツールをよりよいものにブラッシュアップしていく。
その過程がたまらなく楽しいものです。
委託してBIツールを構築することもできましたが、完全に社内でBIツールを構築することにより改良の意見を迅速に反映できるようになっています。
BIの導入により「経験則の提案」から「根拠データを使った提案」が増え、実際に行動を起こすまでの時間も短縮される。
ここまでBIの構築を書いてきましたが、BIツールを社内に展開した後、どのようなことが社内で起こったのか書いていこうと思います。
- 経験則からの数字ではなく、実績をもとにした数値で提案がおこるようになった。
- 資料にグラフが増えた。
- 新入社員とベテラン社員で基礎的なノウハウを共有することができた。
実績が過去数年分閲覧できるようになっているため大まかな傾向や現状の確認は新入社員でもベテランでも共有されています。新入社員もアプリ感覚で社内データが一望できるようになっているので新しい提案や施策について考える際にハンデはありません。
なので若手でもちゃんと傾向を分析すればそれなりの提案ができるようになっています。
もちろんベテラン社員でも自分の経験則が正しかったことを証明できますし、経験則から乖離している現象が起きている場合は考えを修正することができるようになりました。
ここで声を大にして言いたいのは「データを迅速に可視化することができること」というのは会社にとって大きな財産であるということです。
これは私のBI導入までの経験から感じたことです。
当初のやり取りでは「データが早く見えるようになるだけ?それならExcelで出来るしなぁ」ということもありましたが今では懐かしい話のように感じるほどです。
データの可視化は単純なことですがそれが社内で共有され、誰にでも閲覧できるような環境になったとき大きな意味を感じることができると思います。
データをもとに行動する文化が芽生えればPDCAのサイクルが迅速にまわるようになります。行動前のデータも行動後の効果測定も1つのツールでおこなえるのです。
これはいままでExcelを紙のように扱っていた会社からすればイノベーション以外の何物でもないと思うことが出来ました。
まとめ
- BIツールは「PowerBI」を採用した。
- 決め手はイニシャルコストとランニングコストが低く、体験版が用意されていたこと
- 最初のデモ用に構築したものは1週間で完成できた。それほどPowerBIは操作が簡単で高機能
- 見せるデータについてはとにかく出せるもの全部出す勢いで見える化をしていった。
- BIが普及するについてデータをもとに行動する文化が社内で芽生え始めた。
- 1年前までExcelしか使ったことがなかった会社が社員の末端までデータをもとに行動し、PDCAサイクルを迅速にまわすことができるようになった。
以上が私が経験したBIツールを導入したことによるイノベーションの所感です。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
イノベーションとでかいことを書いてしまいましたが小さな会社にとってみたら大企業がおこなっていたビジネスインテリジェンスは十分イノベーションといっていい感動があったように思います。
またそれを社員一人でも起こすことができるようなツール「PowerBI」などが世の中にでてきています。
確かに便利なツールではありますが組織全体を巻き込むプロジェクトにはなると思いますので、プロジェクトを動かす際はリーダーが自信をもって舵取りをしなければなりません。
もしBIを社内で推進していきたいと思っている方や、あーこういうものがあるのかと思い導入を検討されている方に一つの道しるべとなるような記事を書けたらと思ったしだいです。
もしPowerBIについての情報共有や情報交換を希望される場合はTwitterでメッセージをお願い致します。社内でBIの仕様について話せる方はいないのでこういった場を借りて情報交換してみたいとも思っています。
(社内のこういった業務を担当されている方のコミュニティってネット上あるんでしょうか・・・あったら使ってみたいなぁ?)
以上です。
ありがとうございます。
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