樽屋雅徳さんの人気曲や彼がどんな人かについて
こんにちは。
響け!ユーフォニアム〜誓いのフィナーレ〜が公開し、レビューを投稿しましたが、そこで演奏されている楽曲はどれもいい曲ばかりでした…。そこで、吹奏楽の作曲者で著名人は誰かを調べていた所、樽屋雅徳さんという方を発見しましたので、今回はその方について投稿したいと思います。
よろしくお願いします。
樽屋雅徳さんプロフィール
1978年生まれ 千葉県銚子市出身
銚子市立銚子高等学校卒業、武蔵野音楽大学音楽学部作曲学科卒業。
大学卒業後は、作・編曲活動の他、吹奏楽団体の指揮・指導も行っている。
現在、銚子市立銚子高等学校吹奏楽部の指揮者・音楽監督を務めている。
※Wikipediaより抜粋
意外と言ったら申し訳ないですが、お若い方です。
勝手に作曲家といえば、年寄りというイメージがついていませんか?
樽屋雅徳さんの作品を紹介
樽屋さんが作曲した吹奏楽作品は数多くありますが、その中でも私がおすすめをする作品を紹介します。
【民衆を導く自由の女神】
フランスの画家コジューヌ・ドラクロアの同名の絵画を元に作られた作品です。
絵画は19世紀フランスに起こった7月革命をモチーフにしています。随所に現れるテーマは自由の女神を意味していて、この曲の核をなすものです。
冒頭では、民衆が暴動を起こそうとして団結して行く様子を、クラリネットとサックスの16分音符で。民衆が武器を手にする様子を金管楽器で力強く表現しています。
その後、高音木管楽器、トランベットのテーマが民衆を導いている女神の神々さを鮮やかに印象付けます。テーマが終わるとまさに暴動が起こる直前であり、一つ一つの音に緊張感がみなぎる場面です。
その緊張はやがて解放され、ついに暴動が始まります。
クラリネットのテーマが街中の喧騒のごとく鳴り響き、そのテーマを途中からフルート、ピッコロが追いかけ、暴動は激しさを増していきます。
その喧騒の中、武器をかかげ戦い続ける民衆の姿を金管楽器のコラールが描き出します。暴動は終わり、サイド女神のテーマを奏でるユーフォニアムのソロは暖かい光を照らし出します。
やがてソロは高音木管、オーボエ、ホルン、トランペット、チューバと受け継がれ、女神のテーマが繰り返されます。
こうして自由を求めた革命は一つの結末をたどり、女神の姿を象徴するとともに輝く未来に向けて歩み出す、壮大なエンディングを迎えます。
※文章「樽屋雅徳作品集Ⅱ」より
星の王子さま
サン=テグジュベリ作の同名の童話「星の王子さま」をもとに作曲。
曲は大きく5つの場面に分かれています。
まず冒頭からアレグロに入るまでは序奏(グロッケン、ヴィブラフォン、ピアノ)はこの曲の主となる「星の王子さま」のテーマです。
アレグロ(テンポが早い)に入ってアタージョ(テンポが遅い)まではお話の中の“ぼく“が飛行機を操縦している場面です。
アレグロ部分後半のトロンボーンのグリッサンド(音を区切ることなく隙間なく滑らせるように流れるように音高を上げ下げする技法)は気候機がエンジントラブルを起こしサハラ砂漠に着陸する様子です。
コラールは「星の王子さま」のテーマの拡大です。
砂漠で”星の王子さま“が”ぼく“に『ねえ、ねえ、羊の絵を描いてよ』と話しかけ、その二人が会話をしている場面。ピアノのソロは”王子さま“が星に帰る切ない場面。
※文章「樽屋雅徳作品集Ⅱ」より
途中、フルートのソロとオーボエのソロがあります。“星の王子さま”と“ぼく”の掛け合いのようです…
ちはやふる
2018年に発表された曲です。
在原業平(ありわらのなりひら)の恋物語をもとに作曲。
在原業平は平安時代を代表する歌人
現代では百人一首で「千早ぶる神代もきかず龍田川 からくれなゐに水くくるとは」の句で有名。
『ちはやふる』だけ聞くと、広瀬すずが出演した映画を思い出しますね。
この曲に関しては樽屋さんが昨年、インタビューに答えた記事がありました。
インタビューで樽屋さんはこの曲を作曲するにあたり、「歌心満載で奏でられるメロディと、小編成でも豪華に聴こえたり、豊かなサウンドになるよう心がけました。」と、お話をされています。
YouTubeで投稿されていた吹奏楽部の演奏を聴くと、言葉通りでとても華やかな曲だと感じました。
打楽器パートの楽器で和楽器を取り入れていたり、フルートとピッコロ(フルートを小さくした楽器)でお囃子のようなパートを入れていたりと、日本の曲だな〜といった感想です。
天満月の夜に浮かぶオイサの恋
天満月は「あまみつき」と呼びます。
この曲は、ある物語に沿って作られた曲のようです。
昔、オイサという美しい娘がいる宿屋がありました。
※フォスターミュージック出版レンタル譜の説明より。
ある日、オイサの宿屋に比叡山の若いお坊さんがやってきます。オイサは一目でお坊さんに恋をし、よく世話をして、お坊さんも寺に帰るのを忘れるほど楽しい毎日を過ごしていました。しかしいつまでもそんな日々は続きません。お坊さんは「私は比叡山に帰れば、浮御堂で修行する身です。そんなに私のことが好きならば、毎晩湖を渡り寺に通ってください。百晩通ったらあなたを嫁にしてあげましょう」とオイサに告げて寺へ帰っていきました。
オイサはその言葉を信じて、毎晩たらいの舟に乗り、浮御堂の燈明をたよりに琵琶湖を渡ります。毎晩通い続け、とうとう九十九晩が経ちました。
ところが、まさか若い娘が本当に九十九晩通ってくると思わなかったお坊さんは困り果ててしまいます。自分は修行の身で嫁をもらうなんて本当はできないのです。悩んだ末、なんとお坊さんは、毎晩オイサがたよりにしていた大切な燈明の明かりを消してしまいました。
そんなことは知らず、オイサはその晩も懸命に湖を渡っていましたが、いつもたよりにしていた明かりが見えません。運悪くそこに山の上から激しい嵐がやってきて、あっという間にたらいの舟はひっくり返り、オイサは湖の底に沈んでしまい二人の恋は叶わず終わってしまうのでした。
曲はこの民話を語りきかせるように、
冒頭は物語の舞台である神秘的な<月明の中の浮御堂>から始まり、二人の出会いの<宿屋にて><恋するオイサ>、運命の時<99日目の夜><オイサに迫る嵐>、切なくも叶わなかった<忘れられない恋>、そして恋心は強い想いとなって今でも湖に残る<オイサの化身>と進んでいきます。
この物語を読んだ後で、この曲を聴くと「あ、今この場面だな」というのが分かりやすいです。
この曲も和太鼓や、木魚といった変わった打楽器が使われているようです。
最初は月夜のシーンなので幻想的な曲調ですが、嵐がやってくるシーンになると金管楽器や打楽器で曲を盛り上げています。
まとめ
いくつか、樽屋さんの曲を聴かせていただきましたが、どれもいい曲でした。(何も知らない私が言うな、と言いたいところですが)
曲にそれぞれ、テーマや物語がしっかり書かれていると、演奏する側も聞いている側も音楽に入りやすいなと言う印象です。
また、樽屋さんがピアノを習われていた影響なのか、ピアノを多くの曲に取り入れているなと思いました。打楽器が使用する楽器も、ムチや鐘などありとても変わっているなと思います。
アニメで見る吹奏楽の世界もいいですが、現実世界で頑張っている吹奏楽の生の演奏も良いものだなと感じました。
以上です。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。