【ネタバレあり】恋恋蓮歩の演習レビュー!羽村の正体にゾクっときた
こんにちは。
本日は森博嗣の恋恋蓮歩の演習を完読したので、考察していきたいと思います。
本作は、Vシリーズの第6作品目です。1作品目から5作品目までについても感想と考察を書いていますので、まだそちらを読まれていない方は、そちらも是非読んでみてください。
あらすじ
航海中の豪華客船完全密室から人間消失
アマゾン「恋恋蓮歩の演習」購入ページあらすじより引用
世界一周中の豪華客船ヒミコ号に持ち込まれた天才画家・関根朔太(せくねさくた)の自画像を巡る陰謀。仕事のためその客船に乗り込んだ保呂草(ほろくさ)と紫子(むらさきこ)、無賃乗船した紅子と練無(ねりな)は、完全密室たる航海中の船内で男性客の奇妙な消失事件に遭遇する。交差する謎、ロマンティックな罠、スリリングに深まるVシリーズ長編第6作!
今回の舞台は、なんと豪華客船。そこで発生した密室殺人事件に紅子さんたちが挑みます。
感想
今回の物語は、なかなか事件発生とはいかず大学院生の大笛さんと羽村さんの、恋愛模様が描かれていました。この転換は今までのVシリーズではなかった展開だったし、森博嗣さんが書く小説でこんな物語を読むのも新鮮でした。
事件が発生するまでは、保呂草さんと紫子が張り込みのお仕事をやっている場面と、大笛さんがひょんなことから紅子さんとお友達になり、羽村さんのことを話す場面で構成されていました。
最初は、これは推理小説なのだから早く事件が始まってほしい、と思っていたのですが、紫子が保呂草さんと恋愛関係になりたいと奮闘する姿や、大笛さんが羽村さんと恋人として過ごす日々を語る姿を読んでいると、こっちまで恥ずかしくなりそして、次はどんな展開になるのだろうと考えてしまい、スラスラと読んでしまいました。
羽村さんが、豪華客船に乗船中に何者かに殺害されて海に転落したという事件でしたが、この事件の犯人そして最後の大笛さんの一文は、ズキンと心に刺さりました。
また出てきた各務亜樹良
前作で登場した、各務さんが今回も登場してきましたね。前作ではエンジェル・マヌーヴァという宝剣を巡って、保呂草さんと逃走劇を繰り広げた後、姿を消してしまいましたが再び、保呂草さんへお仕事の依頼をするために登場しました。
各務さんの肩書きはジャーナリストのようですが今回は、大富豪クロウドボナパルトの秘書をされていた各務さん。人々を魅了する彼女はまだまだ謎が多い方で、今後どのような展開になっていくのか楽しみな人物です。
羽村の正体にゾクっときた
大笛さんが恋をする羽村さん。建築家のお仕事をされていて、とても紳士的な男性のイメージです。
ですが、豪華客船に乗船中に何者かに殺害されて海に転落してしまったという設定でしたが、結果、羽村さんという人物は一緒に乗船しておらず、大笛さんの演技であることがわかり今回は誰も殺害されていなかった、という結末でした。
では、羽村さんって誰?
答えは、大笛さんが最後に羽村さんへ渡してくださいと保呂草さんに渡した手紙に書かれていました。
楽しかったわ。
恋恋蓮歩の演習 P440より引用
それに、もうびっくり。
ああ、楽しかった。
ありがとう。
保呂草さんっていうのね、
それ、本当のお名前なの?
私はこれを読んでゾクっときました。今、書いていてもゾクっときます。
どういう時系列なのか、読み直したいくらいです。
いつから、保呂草さんは大笛さんをつけていたのでしょう?そしてその理由は、各務さんに依頼されたからなのか?それとも全く別の案件で大笛さんに近づいたのか?
うーん
ゾクゾクしますね。
恋恋蓮歩の意味
今回の小説のタイトル「恋恋蓮歩の演習」ですが、意味は分かりますか?
私は全く分かりませんでしたので、調べてみると「恋恋」(読み方:レンレン)とは、恋や居心地の良い環境を諦めない様のこと。「蓮歩」(読み方:レンポ)とは、美人の歩みのこと。なので、「恋恋蓮歩」とは大笛さんのことを言っているということが分かります。
「A Sea of Deceits」欺瞞の海
Vシリーズには、それぞれ副題があります。
1作品目の黒猫の三角は「Delta in the Darkness」人形式モナリザは「Shape of Things Human」月は幽咽のデバイスは「The Sound Walks When the Moon Talks」夢・出逢い・魔性は「you May Die in My Show」魔剣天翔は「Cockpit on Knife Edge」でした。
そして、今回の恋恋蓮歩の演習の副題が「A Sea of Deceits」訳すと、「欺瞞(ぎまん)の海」で欺瞞とは人の目をごまかし騙すことだそうです。今回の事件がまさに欺瞞でしたね。読む前に副題を訳してしまったら、この物語の見方が変わっていたかもしれません。
今回は以上になります。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
次はこの作品を読んでいきたいと思います。また読み終わったらレビューを書いていきたいと思います。よかったら、私と一緒に皆さんも読んでみませんか?