義務教育でプログラミングを学習させないほうがいいと思う理由

CTRが高めのタイトルをつけてしまったが、結論を先に述べると「ちゃんとプログラミングを教えられるなら教えたほうがいい」と思います。英語教育のような失敗を繰り返してはならないからです。

スクラッチ(Scrarch)とはプログラミング学習用ソフトのことです。最近は非エンジニアの方もプログラミングに興味をもっているようで、このスクラッチを使って勉強をしているようです。

時代が変わってきたなという実感をしています。ほんの10年前はパソコンが趣味というと「オタク」であったり「根暗」と言われたり散々な目にあいました。悪口を言われるので、裏でこっそりパソコンを触っていた時代がありましたね。もう遠い過去のようです。でもそうやって裏でこっそり動いてきた人のおかげで今の日本のIT基盤が築かれていると思うと、皮肉です。

国レベルでもプログラミングへの注目度は高まっているようで、「世界最先端IT国家創造宣言」がなされ、「プログラミングの義務教育化」が決定しています。

それ自体は素晴らしいことです。

プログラミングが大きな意味を持つことはお茶の間でも話されているほどになりました。現役のプログラマーに聞いてもやっておいて損はないと僕の周りのみんなは答えます。

しかしプログラミングを子供に勉強させるにあたり、その方法は難しいところです。

そのあたりをつらつらと書いていこうと思います。

義務教育でプログラミングを学習させないほうがいいと思う理由

プログラミングの必修化について
義務教育でプログラミングを学ばないほうがいいと思う理由

日本でプログラミングの教育を必修化することになった経緯

2016年に経済産業省がIT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果を出しました。

調査結果のざっくりとした概要をまとめてみます。

IT企業及びユーザー企業情報システム部門に所属する人材は2020年で36.9万人不足する。

2030年では78.9万人不足する見込み。2019年をピークに産業人口は減少傾向になる。

経済産業省
https://www.meti.go.jp/press/2016/06/20160610002/20160610002.pdf

将来的に情報システム部門の人が減ると報告書に記載があります。これが書かれたのが2016年。今2019年になり、新元号が令和と発表されたばかりですが、この報告書によると、まさに2019年に約37万人の技術者不足となっているようです。

引用:経済産業省

この報告書ではIT市場の成長率と生産性が高位で上昇する場合を想定します。市場の成長性に絶対はありません。なのでこういった注意書きがされていますが、2019年になってその市場は膨れ上がるばかりなので、おおよそこの報告書の通りという印象です。

プログラミングの重要性が一般家庭でも囁かれるようになったのがその証拠だと思います。

ITの分野は第4時産業革命です。世の中にスマートフォンが普及し、小学生や中学生でもパソコンに触れる機会が減っていると言われています。

そんなITを扱う人材育成のためには幼いころから学習させる必要があると偉い人は考えたようです。

そもそもなぜ日本にIT人材が少ないのか

世界的にみてもIT人材が不足しているということが言われていますが、日本は特に少ないようです。ではなぜITの人材が少ないのでしょうか。

これについては諸説いわれていますが、先程の経済産業省の資料に興味深いグラフが付録していました。


https://www.meti.go.jp/press/2016/06/20160610002/20160610002.pdf
引用:経済産業省

画像は米国、インドネシア、中国、インド、タイ、韓国、ベトナム、日本のIT人材の役職を表したグラフです。

米国ではIT人材のうち、26%が「経営層・役員クラス」ですが、日本はなんと4.6%!!

一般社員クラスが47.2%もいます!日本はIT人材の役職が著しく低いということがわかります。確かに自分のまわりを見ても経営者層や管理職をしているエンジニアはほとんどいません。

続いて各国のIT人材の専攻分野です。


https://www.meti.go.jp/press/2016/06/20160610002/20160610002.pdf
引用:経済産業省

諸外国のIT人材が何を専攻していたかの図です。

日本は理系出身のIT人材が少ないのが見て取れます。逆にインド、中国では情報工学科出身者のエンジニアが多くいるようです。

経済産業省の資料には書いていませんし、極端な結論ですが「日本はIT人材を冷遇している」といえるでしょう。

義務教育で教えられる「プログラミング」とはどういうものか

コーディング(プログラムを書くこと)をするわけではない!?

文部科学省教育の情報化の推進のページに義務教育におけるプログラミングの位置づけをおこなっている資料があります。

小学校プログラミング教育に関する概要資料


引用:http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2018/03/30/1375607_01.pdf

小学校プログラミング教育に関する基礎資料です。出典は経済産業省となります。

これを見ると最も目を引くのが「プログラミング的思考」という言葉です。

次のページにはより明確にプログラミング的思考の定義が書いてあります。

引用:http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2018/03/30/1375607_01.pdf

ここではっきりと名義されています。義務教育におけるプログラミング教育とは、プログラミング教育ではありません。あくまでプログラミング的な思考を養うということのようです。

そのため学校教育ではコーディングをおこないません。正直ここには賛否両論があると思いますが、私はコーディングを教えたほうがいいと思う派です。

なぜなら、おそらく論理的思考をやらせたら右に出るものがいないプログラマーは、コーディングをしていく上で論理的思考を手に入れていると思っているからです。

私自身も経験がありますが、最初意味がわからなかったプログラミングも、時間をかけて理解しよう理解しようとして、考えに考えた結果できるようになりました。うまい例えが思い浮かびませんが、自転車に乗れるようになった感覚がそれに近いと思います。

何に時間をかけていたかというと、やはりコーディングです。

コーディングは論理的思考を育むのに最適だと僕は思っています。

よくコーディングは難しいと言われますがそんなことはありません。

もしそういう人がいるとしたら、それはただの努力不足だと思います。

それほど論理的思考を育むのは気合と努力が必要です。逆を言うとその努力を怠っているような教育になっていくような気がします。結果的、義務教育9年間もプログラミングを学んだのに、結局論理的思考を会得していないような人材が輩出されていくような気がしてなりません。それは義務教育の英語のようなものです。

9年も英語を学んで読み書きできない人なんて、周りにたくさんいますよね。また同じ過ちを繰り返すようです。

プログラミング的思考を身に着けさせたかったら、コーディングはやらせるべきです。

教員がプログラミング的思考を理解していない。ICT支援員が不足しているにもかかわらず予算をカットする国の体制

ICT支援員とは、学校でITを使用した授業が円滑に進むように援助する役割の人の事を言います。教員に対する研修や、実際に支援もおこなうような人材です。

私も調べてみるまで知りませんでしたが、世の中にはこういった新しい職業が出てきているようです。プログラミングの必修化に関して最も重要な位置にいる人材といっていいでしょう。

しかしこのICT支援員ですが、日本全国で2000名しかいないと言われています。以下に論文のリンクを貼っておきます。

論文:2020年に向け進化し、採用が広がるICT支援員の課題と期待

計算すると各自治体に平均一人。15校に1人しかいない計算です。

2020年までもう残り少ない時間のなか、まだこういった重要ななポストを埋めきれていないというのは問題だと思います。

実際にICT支援員として2年間務めた方のインタビューが掲載されていました。

インタビューを読むとまた色々残念に思える箇所がいくつかあります。

まず給与です。なんと年収200万ほどしかないということです。今後の未来を担う子どもたちのために投資もできないのでしょうか。今後ICT支援員を増やす必要があるかと思いますが、低予算で働かせようとする意思が見え見えです。

これからIT人材を増やそうとしているのに、安く済まそうとするのはどうかと思います。投資の原則はリスク・リターンです。IT産業の成長性を見込めば、ここに予算をかけないという判断をするとは考えにくいです。

インタビューに話を戻すとこの方がICT支援員をやめた理由が国の予算カットによるものだというのも驚きです。この国はIT人材を増やしたいのか減らしたいのかわかりません。

ちょうど民主党から自民党に変わったときのようですが、民主党はこういったIT関係の事業を継続しないと決めていたようですね。驚きました。

この方は続けたいという思いがあり、教員たちにアンケートも実施したようです。ほぼ100%の継続希望の結果となったようですが、残念ながらその判決は覆ることはありませんでした。

このインタビューの中で最も興味深かったのは教員の方に何を教えていたかです。

それがエクセルとワードだったそうです。

これから子どもたちに論理的思考としてプログラミングを教える立場の人間が、エクセルとワードの質問をICT支援員にしている状況です。

エクセルとワードが悪いとは言いません。ただ資料にもあるように、「身近な問題の解決に主体的に取り組む態度やコンピュータ等を上手に活用してよりよい社会を築いていこうとする態度などを育むこと」というミッションをそういった教員たちが達成できるとは思えないのです。

それだったらむしろエクセルとワードの使い方を授業で取り扱ったほうがよほど社会のためだと思います。

このままではプログラミング教育の必修化は失敗して、ずっと世界に後れを取り続けることになる。

私は英語の必修化を経験し、小学校から中学校まで英語を学んだ世代です。

では英語を読み書きできるかというとまったくそんなことはありません。

周りを見ても、そういった能力を持っている人はごく一部です。

じゃあ英語を扱える人は義務教育内で覚えたかというとそうではありません。

ホームステイや、英会話など、義務教育外で学んだ場合がほとんどです。

というか義務教育で英語を扱えるようになった人がいるのでしょうか・・・?

義務教育でそこまで教える必要はないという人もいるでしょう。

しかしITの分野では日本はすでに大きく世界に後れをとっています。

今の日本に欠けているものは危機感だと思います。戦後日本人は世界に追いつき追い越そうと必死になって頑張りました。

結果一時は世界の中でも技術大国として大成していったわけですが、それにうつつを抜かしていたせいで今ではすっかり平和ボケした弱小国になってしまったと私は思います。

世界はすでに大きく変わり始めています。パソコン、スマートフォンの登場は人類史の中でも間違いなく語り継がれていくことでしょう。

そういったビッグチャンスの中で、また日本の教育は同じ過ちを犯していきそうな気がしてなりません。

日本から世界に向けてイノベーションを起こしていくためには教育は欠かせないものです。そのためには教員は重要です。ここには予算をかけ、専門的な人に高い給与を渡し、質の向上をはかってほしいもです。

将来、質の高い教育を子どもたちが受けられるような環境ができることを願っています。

駄文失礼いたしました。

ありがとうございます。

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sensiki

sensiki

名前:sensiki 職業:サラリーマン。いわゆる理系男子で大学からプログラミングを学び仕事でも活用中。好きな言語はPython。流行に疎いこともあり最近の話題を独自の視点でまとめていこうと思いブログ開始。スクレイピングや統計を用いたエントリを書きたいと思いまながらツールを作成中。

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